Amazonアカウントが突然停止!「知的財産権の侵害」と言われたとき、あなたが取るべき対応とは?

「正規品なのに、なぜ?」ある日突然届いたアカウント停止通知
Amazonセラーとして真面目に運営していたつもりでした。
それなのに――
ある朝届いた1通のメールが、すべてをひっくり返しました。
「アカウントを停止しました。理由:知的財産権の侵害」
対象となったのは、正規ルート(日本ミシュランタイヤ経由)で仕入れたタイヤ商品。
もちろんコピー品ではなく、まぎれもない本物です。
しかし、Amazonが求めてきたのは「権利者からの認可書(LOA)」や「ライセンス契約書(LA)」の提出。
正直言って、青天の霹靂でした。
「そもそも、LOAなんて出ない」現実とのズレ
実際に、日本ミシュランタイヤに問い合わせたところ、
「LOAは小売業者には発行していません」
と明確に断られました。
つまり、存在しない書類を提出しろとAmazonは言っているわけです。
Amazonのサポートにも事情を説明しましたが、返答は定型文の繰り返し。
「LOAまたはLAを提出してください」としか返ってきません。
この時点で感じたのは、Amazonは現実を見ていないということでした。
なぜ「正規品」でもアカウントが停止されるのか?
知的財産の専門家に相談したところ、
私たちが直面しているのは「Amazon独自のルール」の罠だということが分かりました。
日本の法律では、正規に仕入れた商品を再販することは「消尽法理」により認められています。
しかしAmazonでは、ブランド保護を理由に、LOAの提出ができなければアウトとされるケースが増えています。
つまり、法的には問題なくても、Amazonの審査基準ではNGになるということです。
他のセラーはどうしてる?不公平に感じるリアル
さらに納得できなかったのは、同じミシュランタイヤを販売し続けているセラーが多数存在していたこと。
自分だけが停止される。
しかもLOAは発行されない。
なのに提出しろと言われる。
――これは、まさに八方塞がりの状態です。
アカウント停止後の対応策:あなたが取るべき5つのステップ
ここで立ち止まってはいけません。
以下に、実際に効果があった対応方法と、今後のために知っておくべきポイントをまとめます。
対応1:仕入れ元(問屋・正規代理店)にLOAの代わりとなる書類を依頼する
- 納品書・請求書を提出
- 可能であれば、問屋経由で「販売許可に準じた文書」を出してもらう
対応2:ブランド側に「LOAは出していない」旨の証明依頼
- メールなどでのやりとりを証拠として提出
- 担当者名・日付・会社名が分かる形で保存
対応3:テクニカルサポートには“文面を変えて”何度も問い合わせる
- 「LOAが発行されない現実」+「正規流通経路での仕入れ」+「法的正当性(消尽法理)」を論理的に主張
- 冷静かつ丁寧に、複数回送る(担当者によって対応が変わる)
対応4:外部の専門機関に相談する
- 公正取引委員会「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」
- 知的財産に詳しい弁護士やAmazon対策の代行業者(例:hibiki物販相談室など)
対応5:Amazon依存からの脱却を視野に入れる
- 楽天市場・Yahoo!ショッピングなどへの販路拡大
- Shopify・BASEなどの自社EC導入
- 長期的には「Amazon以外でも売れる」体制を構築
「Amazonを恨みながら死ぬしかない」その前に
誰が悪いのか?
あなたではありません。
ただ、Amazonのルールがブラックボックスである以上、「理屈が通じない状況」に立たされる可能性は、誰にでもあるのです。
正規品を扱っていても、アカウント停止になる現実。
そして、その後のサポートは冷たく、事務的。
それでも生き残るには、“知識”と“戦略”が必要です。
まとめ:Amazonアカウント停止時に知っておきたいこと
問題点 | 解決のヒント |
---|---|
LOAが出せない | 問屋・仕入れ元に協力を依頼する |
サポートの定型対応 | 複数回、異なる切り口で問い合わせを続ける |
法的には正当でもAmazonでNG | 消尽法理とAmazonの内規のズレを理解する |
同じ商品を売っている他セラーがいる | 内部通報や嫌がらせの可能性も視野に |
先が見えない | 他モール・自社ECへの移行を検討する |
あなたが努力して築いたビジネスを、Amazonの一方的な判断で壊されないために。
この記事が少しでもあなたの突破口になりますように。
同じ悩みを持つすべてのセラーへ、届いてほしいと願っています。
Amazonアカウント復活申請文テンプレート:構成項目(知的財産権の侵害対応)
申請文は、Amazonが「要件を満たす」「再発防止策が具体的」と感じる構成が必須です。以下の項目で構成してください。
① 件名(Subject)
- 「知的財産権の侵害に関するアカウント停止への異議申し立て」
【知的財産権侵害】アカウント停止に関する異議申し立ておよび再開のお願い(セラーID:AEXXXXXX)
② アカウント情報と対象商品
- セラーID(登録メールアドレス)
- 対象商品(ASIN/商品名)
- 停止通知を受け取った日付
お世話になっております。
セラーID:AEXXXXXX
登録メールアドレス:example@example.com
アカウント名:〇〇商店
このたび、Amazonより知的財産権の侵害を理由としてアカウントが停止されました。
対象商品は以下の通りです。
・商品名:MICHELIN Pilot Sport 4
・ASIN:B00XXXXXXX
対象商品は、正規ルート(日本ミシュランタイヤ株式会社の正規代理店)より仕入れたものであり、模倣品や並行輸入品ではございません。
③ 状況の経緯と事実関係
- 正規品であること(仕入れ先・経路・納品書の存在)
- 日本ミシュランタイヤに問い合わせた結果
└ LOAが発行されないという証拠の存在(メールや公式回答) - 他セラーとの違いへの疑問(公平性の観点)
当方はAmazonの規約を遵守し、正規品のみを適正価格で出品しております。
今回停止の対象となった商品についても、日本ミシュランタイヤ株式会社と取引関係にある正規代理店を通じて仕入れたものです。
AmazonよりLOA(Letter of Authorization)またはライセンス契約書の提出を求められましたが、
日本ミシュランタイヤ株式会社へ確認したところ、「小売業者へのLOA発行は行っていない」との公式回答をいただいております。
すでにこの旨をAmazonテクニカルサポートにも繰り返し説明しておりますが、LOA提出の一点張りで状況が進展しておりません。
当方の販売方法は、日本法上の「消尽法理」に照らしても適法な二次流通に該当すると認識しております。
本件は、模倣品の販売や権利侵害に該当する事案ではなく、明らかに誤認・誤解に基づいた措置と考えております。
④ 再発防止策(Plan of Action)
- 今後、知的財産権侵害と誤認されないよう以下の体制を整備:
- 販売するブランド商品の仕入れルートの確認・記録徹底
- 書類取得不可なブランドについては事前にAmazonに確認を取る
- 正規仕入れ先との連携を強化し、必要に応じて証明書を補完する
当方では、以下の再発防止策を講じ、健全なアカウント運営体制を徹底いたします。
- すべての仕入れ先に対し、正規流通ルートであることの書面確認を徹底します。
- LOA等の書類が取得できないブランドについては、事前にAmazonテクニカルサポートへ確認を行い、販売方針を慎重に判断します。
- 商品ごとの納品書・請求書・取引履歴をクラウド上で一括管理し、提出が必要な際に迅速に対応できる体制を整えます。
- 今後、ブランド保護が厳しいとされる商品ジャンルへの出品は控え、販売ジャンルの見直しも行ってまいります。
これらの措置により、今後同様の事案が発生しないよう、責任を持って運営してまいります。
⑤ 添付資料(可能であれば)
- 納品書・請求書
- ブランドからの公式回答(LOAは発行しない等)
- ミシュラン公式ウェブサイトの販売店ポリシー(該当があれば)
添付資料:
・対象商品の仕入れ先からの請求書(PDF)
・日本ミシュランタイヤ株式会社からのメール返信(LOAは発行していない旨の証明)
・当方の取扱商品一覧と仕入れ先リスト(Excel形式)
※すべて該当商品と照合可能な日付・型番・数量が記載されています。
⑥ 結び
- アカウントの健全運営に真摯に取り組んできた旨
- 今後も規約遵守のため努力する意思
- アカウント再開のご検討をお願いする文言
当方は、Amazon出品を誠実かつ法令遵守で行ってまいりました。
突然のアカウント停止により、業務が停止し、多大な損失を被っております。
また、現在留保されている売上金も生活・事業の継続にとって極めて重要です。
LOAが存在しない現実を踏まえて、柔軟かつ実情に即したご判断をいただき、
アカウント再開をご検討いただけますよう、心よりお願い申し上げます。
どうかよろしくお願いいたします。
〇〇商店
代表者名:〇〇〇〇
連絡先:example@example.com
電話番号:090-XXXX-XXXX
弁護士監修を想定した「Amazon知財侵害対応マニュアル」構成項目
専門家の目線から、出品者がとるべき行動を体系化したマニュアルの構成例です。
第1章:Amazonでの知的財産権侵害とは?
- 商標権・著作権・意匠権の基本
- 「消尽法理」と再販の正当性
- Amazon独自のポリシーと法的ギャップ
第2章:LOA(認可書)とLA(ライセンス契約)の意味と現実
- そもそもLOAは誰が発行するのか
- 「LOAが出ないブランド」の事例と背景
- 小売業者がどう対応すべきか?
第3章:アカウント停止通知が届いたときの即時対応手順
- 停止通知の保存と整理
- 対象商品の特定
- 仕入れ証拠の準備(納品書・請求書など)
- ブランド側への確認・記録化
- 弁護士等への初期相談
第4章:復活申請の作成と提出方法
- Amazonが重視する3要素(事実説明/再発防止策/証拠)
- 提出フォーマットと注意点
- 英語提出の要否と翻訳例
第5章:交渉が進まない場合の対応
- Amazonからの返信パターン別の再交渉戦略
- 外部相談窓口(例:公正取引委員会、デジタルプラットフォーム相談窓口)
- 法的対応を検討するタイミングと準備
第6章:今後のリスク対策と再発防止体制
- 正規ルートを証明できる販売体制づくり
- グレーゾーン商品の扱いを避ける基準
- 自社ブランドの構築や、他販路(楽天/自社EC)への分散戦略