【国策銘柄】東洋エンジニアリングの「レアアース技術」とは?都市鉱山と深海資源で描く未来
日本の経済安全保障において、切り札となると期待されている「レアアース(希土類)」。
EV(電気自動車)や風力発電、そして防衛産業に不可欠なこの資源を巡り、プラント建設大手の東洋エンジニアリング(6330)が重要な役割を果たそうとしています。
「東洋エンジニアリングといえば、石油や肥料プラントの会社では?」
そう思われる方も多いでしょう。しかし今、同社が培ってきた「プロセスエンジニアリング」の技術が、レアアース採掘・回収の現場で革命を起こそうとしています。
今回は、東洋エンジニアリングが注目される技術的な理由と将来性、そして関連する銘柄について解説します。
なぜ今、東洋エンジニアリングなのか?
背景にあるのは、中国への依存脱却と「国産レアアース」への渇望です。 日本政府(JOGMECなど)は、以下の2つのルートでレアアース確保を目指しています。
- 都市鉱山(リサイクル): 使用済み製品からの回収
- 海洋資源(南鳥島沖): 深海6,000mからの採掘
東洋エンジニアリングは、この両方の分野において「技術的な最適解」を提供できる企業として注目されています。
注目技術①:深海6,000mからの「揚泥」技術
最も注目度が高く、夢があるのが南鳥島沖の「レアアース泥」採掘プロジェクトです。
技術的な課題
南鳥島沖のレアアース泥は、水深6,000mの海底にあります。ここから泥を海上の船まで引き上げる(揚泥する)のは、技術的に極めて困難です。
東洋エンジニアリングのソリューション
東洋エンジニアリングは、海洋石油・ガス開発で培った「ライザー管(パイプ)」と「ポンプ技術」を応用しています。
- エアリフト方式の最適化: 圧縮空気を送り込み、気泡の浮力で泥を吸い上げる方式などのプラント設計を行います。
- 洋上プラントの設計: 揺れる船の上で、引き上げた泥からレアアースを効率よく脱水・分離する「洋上処理設備」の設計において、同社のプラントエンジニアリング力が不可欠です。
2024年以降、JOGMEC主導の実証実験が本格化しており、2028年頃の商業化を目指すロードマップにおいて、同社はコアメンバーの一角を担っています。
注目技術②:「都市鉱山」リサイクルプロセス構築
もう一つの柱が、使用済みのネオジム磁石などからレアアースを取り出すリサイクル技術です。
技術的な視点:スケールアップの壁
大学や研究所レベルでは「レアアースの抽出」は成功していても、それを「採算の合う工場(プラント)」にするのは別の技術が必要です。
- 溶媒抽出法の効率化: レアアースを分離するための薬品(溶媒)をどう循環させ、コストを下げるか。
- 自動化・安全管理: 大量の廃棄物を安全に処理するライン設計。
東洋エンジニアリングは、化学プラントで培った「実験室レベルの技術を、巨大な商業プラントにスケールアップする技術(プロセス設計)」において世界屈指のノウハウを持っています。これにより、コスト高になりがちなリサイクル事業の採算ラインを引き下げることが期待されています。
将来性:単なる建設屋からの脱却
東洋エンジニアリングの将来性は、「脱炭素・資源循環のテクノロジー企業」への転換にあります。
- 国策予算の投入: 政府は経済安全保障推進法に基づき、レアアース確保に巨額の予算を投じています。この予算の受け皿として、技術力のある同社は有利なポジションにいます。
- ビジネスモデルの転換: 従来の「プラントを作って終わり」から、「資源循環システムのライセンス供与」や「運営参画」へとビジネスモデルを広げる可能性があります。
影響を受ける・関連する株銘柄
東洋エンジニアリングと合わせてチェックすべき、レアアース・海洋開発関連の銘柄を紹介します。
本命・パートナー企業
- 東洋エンジニアリング (6330)
- 主役。海洋開発・リサイクルプラント設計の要。
- 三井海洋開発 (6269)
- FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)の世界的大手。南鳥島プロジェクトにおいて、洋上の「船」の部分で東洋エンジニアリングと強力なタッグを組みます。
- 東亜建設工業 (1885)
- 海洋土木(マリコン)。海底の地盤調査や、採掘インフラの整備で連携する可能性があります。
素材・リサイクル技術
- 三菱マテリアル (5711)
- 非鉄金属大手。リサイクルの実務や、製錬技術において連携が想定されます。
- 日揮ホールディングス (1963)
- プラント最大手。東洋エンジニアリングのライバルですが、国策プロジェクトでは協力、あるいは競合として技術開発を牽引します。
まとめ
東洋エンジニアリングのレアアース技術は、「深海の泥」や「廃棄物」を「宝の山」に変えるための変換装置と言えます。
まだ実証段階のプロジェクトも多いですが、2020年代後半の実用化に向けて、ニュースが出るたびに株価が反応する「国策テーマ株」としての側面は強まっていくでしょう。長期的な視点で、技術の進捗をウォッチしていく価値は十分にあります。
- 本記事の内容は、公開時点の情報を基にした投稿者個人の主観による「予想」や「考察」であり、将来の事実や結果を保証するものではありません。
- 記事内で紹介している銘柄、株価、発売時期、仕様などは推測を含みます。
- 投資や購入に関する最終的な決定は、必ずご自身で最新の企業IRや公式情報をご確認の上、自己責任で行ってください。
- ※本記事で紹介している証券会社はPRを含みます
- 東洋エンジニアリング公式: 事業案内、統合報告書(資源循環・低炭素社会への取り組み)
- JOGMEC (独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構): 南鳥島レアアース泥開発に関するレポート
- 内閣府: 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資(重要鉱物)の供給確保計画
