4年前の注文が“勝手に返金”?Amazonセラーが直面した理不尽な現実とは

ある日、あなたのセラーセントラルに届く、一件の返金通知。注文番号を確認し、あなたは絶句する。注文日は、先週でも、先月でもない。4年前──。
「顧客満足度の向上のため」
Amazonはその一言を盾に、あなたに一切の確認なく、長期経過した注文の返金を断行します。これは、悪夢のような仮説ではありません。今まさに、多くのFBAセラーの身に起きている、理不尽な現実です。
あまりの理不尽さに、「もう泣き寝入りするしかないのか…」と、諦めかけていませんか?
しかし、まだ道はあります。この記事では、そんな絶望的な状況から、Amazon自身の規約である「FBA在庫の補てんポリシー」を武器に戦い、失った売上の一部を取り戻した、一部始終の記録を公開します。
これは、すべてのAmazonセラーにとっての「お守り」となる、具体的な対抗策と、そのまま使える申請テンプレート付きの実践マニュアルです。

「もう売ってない商品」が突如返金された
ある日、過去に販売していたFBA商品の購入者から、「不具合があった」と問い合わせが入りました。
しかし、その商品はすでに取り扱いを終了しており、セラーは丁寧に「メーカーに直接お問い合わせください」と対応。
ところが数日後、Amazonからの通知で「その注文は返金されました」と知らされます。
セラー側には一切の了承確認なし。
しかも注文日は4年前。
信じられない?でも実際に起きていることなのです。
返品ポリシーの盲点:「顧客満足度の向上」
Amazonのサポートに問い合わせた結果、返ってきた答えがこちら。
「顧客満足度の向上を図るため、ポリシーで定められた期間を超えて返品を受け付ける場合がございます。」
確かに、返品ポリシーにはそう記載されています。でもそれが4年でも通用するなんて…。
通常は30日以内と明示されているルールが、こうもあっさり崩されてしまう現実に、セラーたちは戸惑いを隠せません。
泣き寝入り…?それとも「補填申請」という選択肢
当該セラーは、諦めずにAmazonの「FBA在庫の補てんポリシー」に沿って対応を進めました。
▼補填対応を受けるために提出した主な資料:
- LPN番号ラベルの画像
- 商品のコンディションを証明できる書類(仕入れ書類や請求書など)
最終的に、販売価格の約半額の補填が行われました。納得のいく額ではなかったものの、ゼロよりはマシ。
「理不尽な事例でも、粘り強く対応すれば道がある」と気づかされる出来事でした。
共感の声が続々:「自分にも起きた」「こんなルールでやってられない」
この件が投稿された掲示板には、多くのセラーから怒りや共感の声が寄せられました。
- 「1年以上経って返品された経験がある」
- 「返品された商品は中古状態だった」
- 「これではクレーマー優遇でまじめなセラーが泣き寝入り」
- 「本当に返品が必要なら、Amazonが自腹でやるべき」
セラーの苦労を無視したような運営に、多くの人が「さすがに無しでしょ」と声を上げています。
いま私たちにできること
残念ながら、セラー側の許可なく返金されることは完全には防げないのが現状です。
でも、以下のような行動は自衛策として有効です。
証拠の保管
- LPNラベルの画像、納品時の状態写真
- 仕入れ請求書や契約書類の保存
補填ポリシーを熟読し、申請準備をしておく
異常なケースは「そのままにしない」
- まずサポートに連絡、詳細を確認
- 必要に応じて経産省や消費者庁への相談も検討
FBA在庫補填ポリシーの要約
AmazonのFBA在庫補填ポリシーの中で、セラーが特に押さえておくべき重要ポイント
1. 補填の対象になるケース
- FBA在庫の紛失・破損
- 購入者から返品された商品が破損・欠品していた
- 返品商品が届かなかった
- 誤った商品が返送された
- 返品期間(通常30日)を過ぎた異常な返品
- Amazon側の処理ミス
2. 補填申請の前提条件
- 対象商品がFBAで販売されていたこと
- 該当の商品が、セラーの責任でないこと(明らかなAmazon側過失、購入者都合)
3. 補填を申請するために必要な書類
- LPN(返送ラベル)番号が貼られた商品画像
- 商品が納品時に新品・適正な状態だったと示す証拠書類
- 請求書・納品書・仕入確認書など
- (※Amazonが必要と判断した場合、追加資料を求められる)
4. 申請のタイミング
- 返金処理から45日経過後に補填申請可能
※この「45日ルール」が見落とされがちなので注意!
5. 補填金額の目安と実態
- 一般的に「販売価格の一部(最大でも販売価格の100%未満)」が補填される
- Amazonの裁量による部分が大きく、金額基準は非公開
- 仕入価格やコンディション証明書類が適切に出せないと、補填額は減る傾向あり
6. 補填申請の入口(ヘルプページ)
7. 補填されないケース(注意点)
- セラーに明らかな過失がある場合
- 不十分な書類提出
- 明確なエビデンスがなく、主観的な申請
まとめ:補填を受けるには
- 納品時の記録を残すこと
- 返送された商品の状態確認を怠らないこと
- 必要書類を速やかに揃えられるよう備えること
「泣き寝入り」にならないためには、日ごろからの記録と備えが最も重要です。
FBA在庫補填 申請テンプレート(日本語)
件名:FBA購入者返品に対する補填申請のお願い
いつもお世話になっております。
以下の注文に関しまして、購入者返品後の商品が著しく劣化・破損しており、販売可能な状態ではありませんでした。つきましては、FBA在庫の補填ポリシーに基づき、補填のご対応をお願い申し上げます。
■ 対象注文情報
- 注文番号:XXXXXXXXXXXX
- 商品名:商品名を記載
- ASIN:B0XXXXXXXX
- LPNラベル番号:LPNXXXXXXXXXX(画像添付あり)
■ 状況説明
- 当該注文は、○○年○月に購入されたもので、すでに注文日から◯年以上が経過しています。
- 購入者より「○○の不具合」との理由で返品されました。
- 返送された商品は、明らかに長期使用された痕跡があり、販売当初のコンディションとは異なる状態でした。
- 納品時には新品状態であり、仕入証明書類等も手元にございます(別途添付)。
■ 添付資料
① LPNラベルが確認できる返品商品の画像
② 商品の劣化・破損箇所の写真
③ 納品時のコンディションを証明する請求書・仕入確認書(PDF)
■ 補填申請のお願い
FBA在庫の補てんポリシー「購入者返品に対する補てん」に該当するものと考え、補填をご検討いただけますと幸いです。
必要があれば、追加の資料等も提出いたしますので、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。
以上、何卒よろしくお願いいたします。
[あなたの出品者名]
[出品アカウントIDまたは登録メールアドレス]
補足
- サポートへの提出はケースを作成し、「FBA返品商品の補填について」を選択。
- 添付画像は3枚程度に収め、LPNラベルの写りを重視してください。
- 請求書などは、日付・商品名・仕入先名・金額がわかるようにしてください。
最後に──まだまだ道半ばですが
私もAmazon販売をしながら、こういった体験を記事として発信しています。
その目的は、「過去の自分に向けて書くこと」。同じように悩んでいる誰かに、ほんの少しでも役立てばという気持ちで続けています。
まだまだ学びの途中ではありますが、これからも一緒に歩んでいけたらうれしいです。
まとめ
今回は、「4年前の注文が勝手に返金される」という、Amazon FBAで実際に起きた理不尽なトラブルと、その具体的な対処法について解説しました。
この事例が私たちに教える最も重要な教訓は、「Amazonの理不尽に対し、決して“泣き寝入り”してはいけない」ということです。そして、感情的に反論するのではなく、彼らのルールブックを逆手に取り、論理的に戦う必要があります。
あなたの資産を守るための「3つの鉄則」を、もう一度心に刻んでください。
- 「証拠」こそが、唯一にして最強の武器である
- 商品のLPNラベル画像、そして、その商品が正規品であることを証明する「仕入れ請求書」。これらを、日頃から整理・保管しておくこと。これが、すべての交渉のスタートラインです。
- 戦う場所を間違えない
- 通常のサポートとの不毛なやり取りではなく、「FBA在庫の補てんポリシー」に基づき、正式な補填申請を行うこと。これが、問題を解決へと導く、最も確実なルートです。
- Amazonを「パートナー」ではなく「システム」として捉える
- 彼らの決定に一喜一憂せず、定められた規約に基づき、必要な書類を、必要なタイミングで、淡々と提出する。この冷静な姿勢こそが、巨大なシステムを相手に、あなたの正当な権利を主張するための鍵となります。
Amazonでビジネスをする以上、このような理不尽は、明日あなたの身に起きるかもしれません。この記事を「お守り」として、来るべき日に備え、あなたの大切なビジネスを守り抜いてください。