【2025年版】Amazonで意匠権侵害を訴えても一部業者に削除対応されない理由と対策

Amazonでオリジナル商品を販売していると、類似品やコピー商品との競合に悩まされることがあります。意匠登録を取得し、Amazonに通報しても一部の業者に対してだけ対応がされない――そんなケースが実際に報告されています。
本記事では、意匠権の通報が一部の業者に対して却下される背景と、セラーが取るべき現実的な対応策について解説します。
意匠権を取得していても削除されない?実例とAmazonの対応
Amazonでは意匠権を侵害する出品があれば通報により削除依頼が可能です。多くのコピー商品に対して削除対応される一方で、特定の業者の出品だけが却下されるという事例が起こっています。
Amazonからの却下理由としては、以下のような内容が提示されることがあります。
「登録済みの意匠は登録の時点で新規性がありませんでした。このため、行使は見送らせていただきます。」
これは、特許庁で正式に意匠登録されたにもかかわらず、Amazon独自の判断で却下されるという矛盾した対応であり、セラー側からすれば納得しにくいものです。
Amazonが意匠権を却下する理由にある背景とは?
1. 先行販売が確認された可能性
Amazonでは「新規性」の観点から、意匠登録よりも前に他者が販売していた履歴があると判断されると、削除を拒否されることがあります。これは、たとえその意匠が登録済みであっても、「先使用権」の考え方に基づいた判断がされるケースです。
2. 特定国籍業者への対応の差
一部では、特定国の業者に対して通報が通りにくい傾向があるとの指摘もあります。Amazonのサポート体制が地域ごとに異なるため、日本側の通報では十分な判断がされない場合もあると見られます。
セラーが取るべき5つのアクション
1. Amazonブランド登録を活用する
Amazonの「ブランド登録(Brand Registry)」に参加していると、通報時の精度や優先度が向上します。2025年現在は、意匠権のみの登録でも受理される例が増えています。
2. 弁理士の鑑定書を用意する
Amazonの通報フォームでは証拠添付が難しいため、外部連絡(Brand Registry サポート等)を通じて弁理士の鑑定書を提出する方法もあります。
3. 税関の差止申立を行う
意匠登録済の製品が模倣品として海外から輸入される可能性がある場合、税関への「知的財産権の輸入差止申立」を行うことで、日本国内への流入自体をブロックする方法も有効です。
4. 『判定制度』の利用(特許庁)
意匠権が他社製品に侵害されているかを判断してもらう、特許庁の「判定制度」を利用することで、客観的な判断書(証拠)を得ることが可能です。ただし申請から数カ月を要するため、長期戦を想定する必要があります。
5. 法的措置(提訴)を検討
削除が実現しない場合、販売者が日本に拠点を持たない場合でも、Amazonを対象に販売停止を求めて提訴することが可能です。これは費用と労力がかかりますが、最終手段として検討されるべき選択肢です。
最後に|一方通行の通報システムにどう向き合うか
Amazonの知財侵害通報は現時点で一方通行に近く、質問や補足資料を追加できる仕組みが整っていません。これは多くの知財保有者にとって大きな課題です。
とはいえ、ブランド登録の強化、証拠資料の準備、税関や外部機関との連携、法的措置の検討と、複数の対策を組み合わせることで状況の打開が可能です。
コピー品との戦いは時間とコストがかかりますが、オリジナル商品を守るための投資として向き合う価値は十分にあります。