FBA倉庫で火災発生:QCB5で起きた「販売停止」と補償の現実

2025年5月18日、AmazonのFBA倉庫「QCB5(相模湖FC)」で火災が発生しました。
この影響で、納品した商品が「入出荷作業中」のまま止まり、販売できない状態が続いています。
そして今、多くの出品者が直面しているのは、「出品可能になったとしても、本当にその商品は安全なのか?」という不安です。
外見に異常がなくても、熱や煙、消火剤などの影響を受けた可能性は否定できません。確認せずにそのまま出荷してもいいのか──その判断は、出品者に委ねられています。
また、仮に補償対象となったとしても、Amazonが支払うのは「原価」相当のみ。
機会損失はもちろん、広告費、火災期間中に発生した保管料さえも補償の対象外です。
「商品が戻るか」「補償されるか」ではなく、
“このまま販売を再開していいのか”、そして“失われた経費をどう補填すればいいのか”──。
多くの出品者が、いまその判断を迫られています。
5月18日に起きたFBA倉庫火災と、今なお続く出品者の不安
「入出荷作業中」──
それが、FBA画面で最も見たくない表示になりました。
2025年5月18日。
神奈川県相模原市のAmazonフルフィルメントセンター「QCB5」で火災が発生。
それ以降、一部商品がずっと「入出荷作業中」のまま、販売も補償もされていません。
しかも、Amazonから明確な説明はなく、問い合わせても返ってくるのは
「現在調査中です」── それだけ。
まるで時間が止まったかのような数週間。
いま、出品者たちは何に悩み、どんな選択を迫られているのか。
「まだ終わっていない話」として、整理しておきます。
火災が起きても、商品が販売される可能性はある
QCB5倉庫での火災が報告されてから、すでに1ヶ月以上が経過。
一部では、「販売再開されるかもしれない」という見方もあります。
けれども、その再開が本当に安心できるものなのか──そこに、出品者の不安があります。
- 商品の外装に損傷がなくても、熱や煙、消火剤を浴びている可能性
- Amazonは一括検品をせず、現場の判断で「出荷OK」とするかもしれない
- それを自分の責任で“お客様の手元に届ける”決断ができるのか?
このまま再出荷されたら、レビュー欄に「焦げ臭い」「濡れていた」と書かれるかもしれない。
その時、失うのは“商品”ではなく、“ブランドの信用”かもしれません。
補償されても、それは「損失補填」ではない
仮に補償があったとしても、それは「商品の原価相当額」。
Amazonのガイドラインによれば、補償対象は以下の通りです:
【Amazon補償の基本ルール】(2025年6月現在)
- FBA倉庫内の紛失・破損時のみ補償対象
- 補償額はAmazonの裁定による「時価」もしくは「原価」ベース
- 広告費、レビュー費、機会損失、納品費用などは対象外
- 明確な申請プロセスがない(Amazonの自動判断)
つまり、出品者にとっては「商品が戻らない」「費用も戻らない」
──にも関わらず、何が起きているかもわからないという状況が続いています。
「どうすればいいか、わからない」──今の本音
販売は再開されない。
補償もない。
問い合わせても「調査中です」と言われるだけ。
今、Amazonセラーが一番悩んでいるのは、“この先、どう動くべきか分からない”ということ。
- 再納品すべきか?
- このまま待つべきか?
- 他の倉庫に切り替えるべきか?
- でも、自社発送の体制がない…
正解のない状況で、
「ただ時間が過ぎていく」ことが一番のストレスになっています。
もし、今からできる備えがあるなら
これは、“誰かのせい”で起きたトラブルではありません。
でも、“誰も守ってくれない”ことだけは、はっきりしてきました。
だからこそ、今後の備えを考えるしかないのです。
出品者が今から検討すべきこと
- 今後はFBA倉庫を1拠点に集中させず、複数倉庫に分散納品
- 自社発送(MFN)体制を一部構築
- 補償保険やPL保険の見直し
- 「入出荷中」が長引く場合の、代替販売戦略の整備
「売れない」よりも、「分からない」がつらい
売れないなら、まだ対処できます。
でも、販売が再開されるのか、補償されるのかすらわからない。
「いつまで待てばいいのか」も、教えてくれない。
Amazonの出品は、ビジネスではあるけれど、
こんなに「心を削られる仕事」になるなんて──。
でも、いまこの記事を読んでくれているあなたが、
「私だけじゃなかった」と思えたなら、少し救いになります。
おわりに:「次に活かせるように、今を記録しておく」
QCB5で起きた火災の対応は、まだ終わっていません。
いや、むしろAmazonは、セールや繁忙期が終わらない限り、何も動かないのかもしれません。
だからこそ、私たちは「今の不安」「感じている矛盾」「このままでいいのか」を言葉にしておくべきです。
この出来事が「無駄」にならないように。
次に同じことが起きたときに、「もう動ける」自分になれるように。