自費出版本をAmazonで販売したい。でも、現実は甘くなかった。

「自分の本をAmazonで売りたい」
そう思ってワクワクしながらアカウント登録をしてみたら……
想像以上に、Amazonの壁は高かった。
この記事では、自費出版本をAmazonで販売しようとして「なぜか認めてもらえない」「製品コード免除が通らない」といった悩みにぶつかった方の体験と、そこから見えてきた本当に通すための方法、そして代替案までをお伝えします。
なぜ、自費出版の本はAmazonで販売しにくいのか?
実際にAmazonで自費出版本を出そうとした方の投稿には、次のような悩みがありました。
- 一般流通していないのでISBNもJANコードもない
- 「製品コード免除」の申請で画像(表紙・裏表紙など)を提出しても、何度も「不備」の返答
- 担当者名は分かっても、直接連絡できない
結論から言えば、Amazonで「書籍カテゴリー」として商品を登録するには、ISBNコードの取得が事実上必須です。
理由は以下の通りです:
- 内容確認ができないため、違法・アダルトなどのリスクがある
- 出版流通ルートが存在しないと、販売管理上の問題が起きる
- 図書コード(ISBN)がない書籍は、Amazonでは“商品としての体裁が整っていない”と扱われる
そもそもISBNがないと本は出せないの?
正直なところ、ISBNがなければ「書籍カテゴリー」での出品は難しいです。
「製品コード免除」を申請しても、画像や書籍としての体裁に厳しい基準があるため、ほとんど通りません。
Amazonの公式な対応も、「ISBNがない書籍は基本的にNG」という運用のようです。
解決策1:ISBNを取得して、正式な出版物にする
ISBNは、個人でも申請可能です。
「日本図書コード管理センター」から手続きを行えば、自費出版でもISBNを取得することができます。
取得したISBNを本に印刷し、製品コードとしてAmazonに登録すれば、正規の書籍として出品可能になります。
- 【参考】ISBN申請先:https://www.isbn-center.jp/
※費用や審査がかかりますが、「Amazonで本を売りたい」と本気で思うなら、一番確実なルートです。
ISBN取得の具体的な手順(個人・自費出版者向け)
① ISBNを管理している機関を確認する
日本でISBNを取得するには、以下の公式機関を利用します。
→ 一般社団法人 日本図書コード管理センター
公式サイト:https://www.isbn-center.jp/
② 必要な申請書類を準備する
申請には次の情報・書類が必要です。
- 出版物のタイトル
- 著者名・編集者名
- 判型・ページ数など書籍の体裁
- 出版者情報(個人名義でも可)
- 発行予定日
- 表紙・奥付の見本(下書きでもOK)
- 身分証明書(個人の場合)
③ ISBNコードの申請を行う
【2つの方法】があります:
- 個人または企業が「出版者」として登録する(登録料あり)
→ ひとまとまりのISBN(10個単位など)が発行されます。 - 1冊単位で取得したい場合は、代理サービスを利用する方法もあり
→ 手数料がかかりますが、出版者登録は不要。
④ 登録料・発行料を支払う
出版者登録には費用がかかります(※目安として3万〜5万円程度)。
支払い後にISBNコードが発行されます。
⑤ 書籍にISBNを表示する
取得したISBNは、書籍の裏表紙や奥付に明記する必要があります。
また、バーコード化(JANコード形式)して印刷に入れるのが一般的です。
⑥ 国立国会図書館への納本(義務)
日本の出版物は、国立国会図書館への納本が義務化されています。
ISBN取得後、1部または2部を納本しましょう。
→ https://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/deposit/
補足:ISBN取得後、Amazonでの出品登録に使える!
取得したISBNは、「JANコード・製品コード」としてAmazonの商品登録時に使用可能です。
書籍カテゴリで出品したい場合、この手順を踏めば正式な出品が可能になります。
解決策2:「書籍」としてではなく別カテゴリで出品する
どうしてもISBNを取りたくない場合、「書籍」ではなく「雑貨」「文具」「おもちゃ」など別カテゴリーで出品するという裏技的な方法もあります。
ただし注意点:
- 商品説明・タイトルで「書籍」や「本」と記載しないこと
- カテゴリー違反と判断されれば出品削除やアカウント停止のリスクあり
この方法は、Amazonのルールに精通していないと難しいため、あまり推奨されません。
解決策3:Amazon以外の販売チャネルを使う
実は、自費出版や同人誌など「一般流通していない本」の場合は、Amazonよりも次のような専門サイトの方が相性が良いです。
- 【BOOTH】(pixiv連携/同人誌販売に強い)
- 【とらのあな】
- 【メロンブックス】
- 【BASE】(自分でネットショップを開設)
このようなプラットフォームでは、JANコードやISBNがなくても自由に販売できるため、スムーズです。
BASE(ベイス)での販売方法【自費出版の代替手段としても有効】
① BASEとは?
BASE(ベイス)は、誰でも無料でネットショップを開設できるサービス。
月額固定費ゼロで、書籍・同人誌・ハンドメイドなども販売可能。自費出版の販売にも最適。
② BASEにアカウント登録
- BASE公式サイト(https://thebase.in/)へアクセス
- メールアドレス・パスワードを入力し、無料登録
- 認証メールから本登録を完了
③ ショップの開設と基本設定
- ショップ名を設定
- URL(https://〇〇〇.base.shop)を決定
- 「書籍」カテゴリを選ぶ or 独自にカテゴリ作成
- ショップのロゴ・ヘッダー画像をアップロード(任意)
④ 商品ページを作成
- 商品名(書籍タイトル)を入力
- 商品説明に概要・目次・著者紹介などを記載
- 表紙画像・中身の一部などをアップロード
- 在庫数・販売価格を設定
- 配送方法と送料を設定(例:クリックポスト198円など)
⑤ 決済方法を設定
BASEでは以下の決済方法が自動で使えます:
- クレジットカード(VISA/MASTERなど)
- コンビニ決済
- 銀行振込
- PayPal
- Amazon Pay(※有効化が必要)
⑥ 販売スタート!
「公開」ボタンを押せばすぐに販売開始。
SNS連携(Instagram・X・LINE)での集客もおすすめ。
⑦ 売れたら発送&入金管理
- BASEから通知メールが届く
- 指定された住所に書籍を発送
- 入金はBASEを通して、売上から手数料を引いた額が振り込まれます(入金申請制)
⑧ 販売促進の工夫
- クーポン発行やレビュー機能でリピーター獲得
- ブログ機能で制作秘話や読者の声を発信
- 無料テンプレートでプロっぽいデザインも可能
補足:AmazonではなくBASEで販売するメリット
項目 | Amazon | BASE |
---|---|---|
ISBNの有無 | 必須 | 不要 |
審査の厳しさ | 厳しい | なし |
出品までの手間 | 高い | 低い |
利益率 | 低め | 高め(手数料低い) |
表現の自由度 | 制限あり | 高い(同人誌もOK) |
よくある勘違いと注意点
Q:製品コード免除は本にも使える?
書籍カテゴリには原則使えません。どうしても使いたい場合は、画像・出版体裁すべてを厳格に整える必要があります。
Q:Amazonから届いた「不備」の通知は誰に相談すれば?
サポートから「ケースID」を使って再度問い合わせできます。担当者名は表示されても、個別の連絡手段はありません。
まとめ:Amazonで自費出版本を売るには、3つの選択肢がある
- ISBNを取得して「書籍」として正式に出品する(王道)
- 雑貨や文具カテゴリーとして出品する(要リスク管理)
- Amazon以外のプラットフォームで売る(自由度高)
「それ、私じゃん」と思った方、あなただけではありません。
いまのAmazonでは、正規流通していない書籍は“はじかれやすい”のが現実。
でも、自分の本を届けたい気持ちがあるなら、方法はちゃんとあります。
まずは「どこで・誰に・どう届けたいか」を考えて、最適な販路を選んでください。